登録点検事業者による
現在のQTHに引っ越しをしてきて、固定局の1KW出力の変更検査をと思っていましたが、12M道路を挟んで向かい側に大きな総合病院があり、いろいろなアマチュア局の話しから、「近隣に病院があると200Wを越える免許は許可されないよ」ということでそれ以上確かめもせずあきらめていました。
ある日、当局の子供のアマチュア局の免許状について総合通信局に電話することがあり、ついでにだめ元でその噂(近隣に病院があると許可しない)について尋ねましたところ、特にそのような法の定めはなく、局を運用することにより電波障害等が発生しなければ問題ありませんということでした。
また変更検査に必要な一番関門の「近隣10件程度の電波障害調査にその病院を含んでも含まなくても構わない」という、目の前がぱっと明るくなるような回答まで頂戴しました。
「電波障害を出さない、出たら迅速に対応する、のはもちろんのことですが、一番肝心なのは近隣の住人とのマッチングです」と担当官から言われました。
そして総合病院には「アマチュア局を開設していること、電波障害があったら即座に停波し障害除去に対応する、という文書を送った方がいいですよ」とのアドバイスをいただきました。
それでは、だめ元で変更検査に挑戦してみようと決心しました。
2004年8月21・22日に東京ビックサイトで開催の「ハム・フェアー」に行き、夕方の「DXディナー・パーティー」で当局のタワーの建柱でお世話になった、(株)FTIの社長・JF1IST/藤原氏に相談しました。
(株)FTIは変更検査の代行を行っており、変更検査を受ける時の注意点やノウハウを聞かせて頂きました。
しかしまだこの時点では総合通信局の検査にするか、(株)FTIの代行検査にするかは決めていませんでした。
さて、手続きに挑戦です!
変更申請書の作成
まずは変更申請書の作成です。これを作成しなければ何も始まりません。
@ アマチュア無線局の無線設備等の変更申請(届)書
・これはみなさん書き慣れていますよね。
・JK1IQK局のフリーソフト局免印刷を利用すると簡単に作れます。
A 無線局事項書および工事設計書
・これも JK1IQK局の局免印刷を利用しました。
・既存の無線機にリニアを付ける場合は変更に丸をする。
・工事設計書の電波形式は、平成16年1月から新表示方式になり、申請するときは新しい
表記をしなければなりません。
総務省のアマチュア無線局の免許状のデータ・ベースには、自局の免許状が新しい電
波形式で表示がされていますので、以前と電波形式が変わらない局は参考になります。
B 送信機系統図
・送信機系統図は送信機(エキサイター)とリニア・アンプおよび空中線の接続状態(線で結ぶ)
を示す図です。
注意する点は、リニア・アンプがスルーになる状態を記入することです。
・さらに送信機(エキサイター)のブロックダイアグラム図をコピーして添付します。
C 50MHz帯空中線電力1kw申請理由書(申請する場合)
・いきなり1kw申請ではなく最初は500wで次回に1kwに変更申請した方がいいようです。
D A4の書類が入る自分の名前・住所を記した返信用定形外封筒(140円切手を貼る)
いっしょに出せれば提出してしまいましょう!(提出を求められます)
@ 電波防護指針計算書
・平成11年10月より電波防護のための基準値をクリアーしていなければ許可されません。
計算式についてはJARLのホーム・ページに「自己点検表」(暫定版)がありますので、
使用予定のアンテナ形式・周波数・出力・距離等を当てはめ基準値を下回っているか計算
してみてください。
表計算ソフト「Microsoft Exel」で作ると楽です。
・利得の大きいアンテナの場合注意が必要です。
ただし八木アンテナは俯角減衰量(周辺住民に対する垂直面方向の減衰量)が加わりま
すので、お使いのアンテナメーカーでお調べ下さい。
・クランクアップのタワーをお使いの局は注意が必要です。
クランクダウン(地上高が低い)の状態でハイパワー運用が可能な場合、リモート・コントロ
ーラーの改造が必要です。(クランクダウン状態でハイパワー発射不可にする改造をする)
FTI社製はこちらを参照してください。他のタワーはメーカーにお問い合わせ下さい。
・直接地面から建てているバーチカル・アンテナやダイポールのエレメントの終端の地上高
が低い場合は基準値をクリアーするのが難しいです。(周辺住民との距離がとれない)
アドバイス
電波防護のための基準値をクリアーするためには、アンテナの下方向の電界強度を低く
表すために俯角減衰量の数値が必須です。
水平方向を0dBiとし下方向の周辺住民にどれだけ電界強度が減衰するかという値です。
アンテナのメーカーに問い合わせると教えてもらえます。
当局はアンテナエレメントから1mのところに公道がありますので、-6〜-7dBiとなりました。
アドバイス
例えばリニアの出力が1kwだけど使用するアンテナの許容入力が500wの場合、リニアを
改造してその周波数だけ500wにする方法がありますが、他に「実際の運用は500w出力を
超えては行わない」という誓約書を提出すれば、リニアを改造せずに500wで免許がされます。
もちろん500wを超える出力で運用すれば罰せられます。
A 近隣のTVの受信状況報告書
・近隣のTVの電界強度やCATV、共同アンテナ等の利用について調査します。
・調査対象の住宅の位置がわかる地図を添付します。
B 自宅付近の地図(縮尺及び方位を入れる)
C 周辺の業務無線局、防災無線、警察、消防、医療機関、移動体基地局等の設備設置状
況報告書
D 空中線配置図
・申請するアンテナと近隣との位置関係がわかる図を作成します。
以上の書類が揃ったので 10月4日に関東総合通信局へ変更申請書を送付しました。
アドバイス
変更申請を計画し少しでもわからない事があったら、関東総合通信局(ご自分の管轄総合
通信局)に電話をして(03-3243-8676)相談してみましょう。
詳しく親切に相談に乗ってくれます。
アドバイス
困ったことは関東総合通信局の電話の受付けが、平日の午後4時30分までということで、
仕事中にこっそり電話をして相談するのには神経を使いました。
役所仕事とはいえ、あと1時間受付け時間が長かったらかなり楽でした。(要望)
今のご時世、なかなか公衆電話が見つからず、必然的に携帯電話での通話が多くなります。
あらかじめ質問事項の要点をまとめ、それをメモ書きにして効率よく質問→回答を得るように
しておくと、短時間で終わることが出来ます。
頭の中であれやこれやと考えながら質問していると携帯電話代がかさみますからご注意を。
アドバイス
最初から業者代行検査をお考えならば、業者に直接相談してみましょう。
ひとりで悩んでいるよりいい解決策が見つかると思います。