DRAKE R-4C Restore



 DRAKE R-4C Restore記                     JA1GLG記 2009/3/22

 YahooオークシンにR-4Cが出品されていた。
オプションの3個のフィルターも装備しているので、かなり汚いが落札した。

 R-4Bを持っていて良く出来た受信機だと思っていたが、R-4Cは半導体を使用してい
る部分があり、真空管派の私としては触手が沸かなかったが、コリンズに比べてどう
なのだろうと言う気があり入手してみた。

 到着したR-4Cは
こんな感じで、タバコのヤニで黄金色になっている。内部もタバコのヤニでシャフトや
SWの接点に付着している様子。
 先ず動作するか確認、115Vのステップアップトランスを介して電源を入れる、何も
音がしない。オーディオ アンプの入力のゲインを上げ手で入力に触れても音出ず。
何と原因はT13出力トランスの1次側巻き線のショートと判明。オーディオ アンプ入
力から仮の外部オーデイオ アンプに接続し、受信出来るか確認。SWをガチャガチ
ャ切替ていると何かの拍子に7MHzの中国の放送が辛うじて聞こえるので修理可能
と確信。取り合えず、オーデイオ アンプをどうするか考えながら、清掃に専念する事
にする。

 パネルは綺麗に出来、内部は綿棒とエタノールと布きれを駆使しヒタスラ清掃する。
切り替えSWの接点をエタノールを綿棒に付け清掃。オプションのフィルター類が心配
になり、取り外し、スペアナで確認、3個共素晴らしい特性で気を良くする。
 
メーカが異なる3個のフィルター
 
250Hz
 
1.5KHz
 500Hzは特性も同じく良いので記載していません。
 スペアナのTG出力、入力にマッチング回路無しで50Ωでの測定です。
 
 こんな感じに綺麗に。
 マニアルの入手をBAMAでと、見てみるが綺麗では無く回路図も見辛い、Webサイト
で色々探していたら見やすい回路図のサイトを見つけた。 http://www.dproducts.be/drake_museum/R4C.pdf
このPDFの回路図は2枚構成であり、文字も見やすく助かる。
その他に http://www.wb4hfn.com にもあるが回路図は1枚で見づらい。但し他の貴
重な情報があるので見て欲しい。

 さて、オーディオ アンプをどうするか、ワンダーキットの2.4Wパワーアンプのキット
を使う事にする。このAF基板にはPTOの出力フィルター回路があるので、それ以外
のオーディオ関係のパーツを全て外し、2.4Wのアンプ基板を乗せます。出力トランス
が無くなったのでANTI-VOXの出力が無い、8オーム:5kオーム位のトランジスタ用
の出力トランスを用いANTI-VOX用として構成しましたがレベルも不明なので後でTX
と接続時に調整が必要ですが、TXと接続しなければ不要です。
 
オーディオアンプを取り付けた様子と回路図
 
 電源の回路も巷で話が出ている様に問題があるので12VのレギュレータICに変更
する。WB4HFNのサイトに記事がありますが、文章の部品番号等に問題があるように
見受けられますので注意が必要です。変更方法の写真は合っていますので参考にな
ります。

 まず、R115 6.8k,5W、R116 5.6k5W、C47 1uF、C201 20uF、CR18,19、Q2、を取り外し
ます。後は7812を説明の通りヒートシンクを付け取り付け、PTOや+10V、+14Vのライン
を+12Vの7812の出力から取り出す様にワイヤリングします。オーディオ回路をICにし
てありますのでこのICも12V動作です。基板のカットや変更はWB4HFNのサイトを参照
にしてください。
 
5Wの抵抗の在った場所の基板が焦げています。
12Vレギュレータを取り付けた基板です。
 これでOKだろうと電源を入れるが受信できない、クリスタルの切り替えSWの接点が
曲がっているのを発見、修正するも受信できず、ノイズブランカーの入力の半固定抵
抗が切れている事が判明、NBのショートプラグを作りNB無しで受信できる様になる。

 後はマニアルに従い、SGを用い調整、なかなか調整もマニアル通り出来快適、NB
のpot2個を新しいpotに交換、調整し完了。CALにすると信号が出ていない、12Vに変
更したせいかと考え、取り外し、外部12V電源で確認、判明した事は基板の取り付け
スタットが高過ぎでピンがキチンとソケットに挿入されず接触不良を起こしていた、こ
のスタットはオリジナルでは無いのかも知れない、スタッドを削ると割れてしまい、幅
広にビニールテープで絶縁し取り付けるが押し込み過ぎると接触不良を起こす、取り
合えず良い場所で固定し終わりにする。

 最終的にはCALのソケットの止めネジを皿ネジにし、CAL基板が奥に挿入できる様
にすれば解決すると思われる。
 最後に電源電圧やリップルをオシロで確認していたら、+12Vを除き電圧が高めであ
る事が判明、何と電源トランスの上部に100Vと記載してあるではないか。この受信機
はS/N26270、日本で製造された機械では無いと思われるが、良く調べたら5645kHz
のXTALフィルターも八雲の日本製、電源トランスも日本仕様で、もしかしたら日本で
製造されたR-4C?、おかげで100V-115Vのステップアップトランスが不要となる。

 音の調整が最小でも音が出ており、MAX CCWでもZEROΩになっていませんでし
たが、2重シャフトで3k,10kのボリュームの入手は難しいのでこのままで我慢すること
に。

 PTOの回転がイマイチなのでWB4HFNのサイトのSmooth and Silkyを参考に実施し
良い結果でした。PTOの安定度ですがSSBを受信している限り問題を感じません、
CWではドリフトが問題になるかも知れないと思い、Easy FCでドリフトを測定、30分
後測定器の仕様20Hz以内に入るので安定しているものと思われます。
 
ドリフト測定値
 
楽しませてくれたケースに入れる前のR-4C
スピーカーはCORRALの4A-60 4Ω 16W
 
【感想】
 調整も簡単で小さい筐体に詰め込んでいますが、良く出来た受信機だと思います。
ハリクラフターズのSX-117がR-4B等と同じ様な構成ですが、未だもって調整できず、
腕が悪いのも伴ってそのままになっていますが、R-4Cはその点楽でした。
 調整が割りに容易に出来る事からコリンズの32S-3B等と比べても、設計が良いから
と感じました(内部の配線は別として)。
 CWに良いと聞いており、私はCWに興味は無いのでJE1LFXの所で使用して貰い確
認して貰おうと考えています。